2-1. ファクトブック

2-1. ファクトブック

ファクトブックとは・・・?
「なにそれ?」「聞いたことない・・」というかたがいても当然ですが、実はとっても重要な役割を持っています。広報をきちんとしている企業では制作されている資料ですが、認知度としてはまだまだ低いようです。これからプレスリリースをやっていく!というかたは特に知っておいた方がいいので、是非読んでみてくださいね。

ファクトブックとは、ひとことで言うと「メディア向けの会社案内」です。「会社案内なら、うちにもあるよ」という企業も多いかと思いますが、普通の会社案内とはちょっと違うんです。

普通の会社案内とはどう違うのか?何のために必要なのか?どうやって作ったらいいのか?そのあたりをこれから書いていきたいと思います。

ファクトブックと普通の会社案内と、どう違うの?

ファクトブックは「メディア向けの会社案内」と書いた通り、まず「誰に見せるか」が大きく違います。

普通の会社案内は一般的に、お客さん向けの「営業ツールとして制作されたもの」や学生さん向けの「採用パンフレットとして制作されたもの」が多くあります。
内容的には、会社のブランドコンセプトや商品やサービスの内容の説明があったり、社長の挨拶があったりするかと思います。

もし、あなたの会社がプレスリリースの配信を始めれば、それを見て興味を持った新聞記者やテレビ番組の制作ディレクターなどのメディア関係者から取材を受けることもあるかと思います。その時に、「記事を書きたいので、あなたの会社のことが分かる資料をください」と言われたら、今ある会社案内をお渡ししますよね?しかし、残念ながら、そこにはメディアの知りたい情報があまりない可能性が高いのです・・・

記事にしてもらう際、メディアにあなたの会社のことを正しく理解してもらう必要があります。会社案内だけでは伝えきれないあらゆる側面の「ファクト=事実」がたくさんあるはずです。それをまとめた資料のことを「ファクトブック」と言います。

ファクトブックとは
「メディア関係者に見せる、会社の魅力あるファクトを詰め込んだ基礎資料」です。

ファクトブックは、何のために必要なの?

それでは、どうしてそういう資料が必要なのかを見ていきましょう。
ファクトブックを制作する目的は大きく2つあります。

①会社について理解してもらう
メディア関係者にファクトブックを見てもらう目的の1つは目、「どんな会社なのか」を的確に理解してもらうことです。メディアが取材をするときは「本当に取材しても大丈夫な会社だろうか?」というのをとても気にします。後で問題のある会社を取材したということが分かってしまったら、メディアに対する信頼が失われるからです。そういった不安を取り除く為にも、ファクトブックは重要な役割を果たします。

②メディアに取材されるきっかけにも
2つ目の目的は、メディアが思わず取り上げたくなるようにさせることです。たとえば、「女性の採用と育成に力を入れている企業」を取材したい時に、メディアはその企画に適した企業を探す必要があります。もし、あなたの会社のファクトブックに「女性の働きやすい環境を整えている」ということが書かれていたら、取材に取り上げられる可能性は高くなります。こういったニュースバリューを持った情報を掲載しておくことで、取材されるチャンスが高まります。

ファクトブックとは
「どんな会社であるかを伝え、メディアに取材される機会を高めるためにも必要な資料」でもあります。

ファクトブックに、何を書いたらいいの?

基本は以下の4部構成です。

1.どんな企業なのか?
2.どんな事業を営んでいるのか?
3.どんな環境で生きているのか?
4.資料編

この構成を元に目次を細かく分けると、以下のようになります。

目次(参考例)
1. どんな企業なのか?
1-1.会社概要
1-2.経営理念
1-3.行動指針
1-4.役員プロフィール
1-5.組織図
1-6.沿革
1-7.事業所一覧
1-8.所属団体

2. どんな事業を営んでいるのか?
2-1.事業モデル
2-1-1.事業のポイント
2-1-2.事業領域マップ
2-1-3.価値創造のメカニズム
2-1-4.各事業の売上高推移

2-2.自社の強み
2-2-1.製品・サービス一覧
2-2-2.開発戦略
2-2-3.営業戦略
2-2-4.人材教育の取り組み
2-2-5.パートナー・提携先
2-2-6.社会・環境に対する取り組み
2-2-7.防災・BCPに対する取り組み

3. どんな環境で生きているのか?
ファクト資料(業界の各種数値データ、非財務情報など)
3-1.業界マップ
3-2.市場シェア
3-3.業績推移 過去5年
3-4.事例 1(開発者など社員の声)
3-5.事例 2(顧客の声)
3-6.報道実績

4.資料編:
4-1.事業領域分野の市場性や実態に関する各種データ
4-2.関連する業界の市場規模

会社によっては、全ての項目が埋まらない場合があるので、当てはまる内容をどんどん埋めて行きましょう。
また、制作のときには次の4つのポイントに気をつけましょう。

ポイント① ”読まれること”に意識して書こう
言うまでもなく、メディア関係者に読んでもらう資料なので、「分かりやすい表現」やに意識しながら書く必要があります。なるべく、プロのライターと一緒に制作するほうがよいでしょう。また、文章だけでなく、写真や絵図、表などを多用しましょう。
ポイント② ニュースバリューを持たせよう
ニュースとしての価値があるものはしっかりと書いておきましょう。

例)
・今までなかった○○な技術を自社開発した。(新規性、新奇性)
・代表が今の事業を始めるきっかけとなったエピソードや、苦労話。(人間性)
・有名デザイナーとのコラボレーション。(著名性)
・男性の育休取得率のアップ。(社会性)
・業界シェアNo.1。(影響性)
・地元で採れた素材を使用。(地域性)
など。具体的な規模や数字などがあると、より分かりやすくアピールできます。
ポイント③ 業界の歴史や問題点も入れよう
自社の情報だけではなく、業界の抱えている課題点やそれに対しての戦略、最新情報などを記載しておくと、業界のことをあまり知らない記者のかたでも理解を深めることができます。

ファクトブックは、何で作ったらいいの?

「これだけの資料、会社案内と同じように印刷会社にお願いしたら結構コストがかかりそうだな・・・」と思ったそこのあなた!実は、ファクトブックを制作している多くの企業では、ワード、エクセル、パワポなどでつくったファクトブックを自社の印刷機で出力し、ホチキスで止めているだけなんです。

その理由としては、「そもそもそんなに多くの部数必要ない」「配布先により内容を変更しやすい」「修正があった時に更新しやすい」などが挙げられます。

まとめ

ファクトブックは、メディア関係者にしか渡さない特別な会社資料です。「時間がない」と言って作らないと、いざ取材依頼が時に慌てて制作してしまって大事な情報を伝え漏れてしまっては勿体無いです。

ファクトブックを作っている会社はまだまだ少ないので、今のうちにしっかりと制作しておきましょう!そして、メディアの人に「お、ここはファクトブック作っている珍しい会社だな」と一目置かれる存在になりましょう。