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今回の課題は、
・今回の感想
・どの事例が参考になりましたか?
・どの利害関係者との関係を特に強化したいですか?(顧客、取引先、従業員、株主、地域社会など)
以上三つです。
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目次
はじめに
皆さんこんにちは。株式会社AGENCY ONEの荒木洋二です。
【令和時代における新経営戦略】第3話です。
前回は、広報の魅力と企業コミュニケーションについて皆さんにご説明いたしました。
企業社会で勘違いして使われている広報の本来の意味と、広報と広告の違い、最後に今、令和時代の広報3.0とはどういうものなのか、を説明いたしました。
そして今回は、具体的な事例を紹介していきます。
始めに広報3.0ではない広報がどういうものかをお話ししたあとに、広報3.0を実践している企業の事例を説明してまいります。
最後に演習もあります。
では、さっそく広報3.0ではない広報について説明いたします。
残念な広報の五つの特徴
一生懸命頑張って情報発信はしているのだけれども、ちょっと残念だなと思う広報があります。失敗と言ったら失礼ですけれど、失敗から学ぶといった意味合いがあり、紹介いたします。
残念な広報は、五つの類型に分かれます。
- 1,顔が見えない
- 2,表しか見えない
- 3,ヒトが見えない
- 4,メディアしか見えない
- 5,つながりが見えない
これらがなぜ残念なのかということについて説明します。
1,顔が見えない
まず1番目は「顔が見えない」。
松下電器、現パナソニックの創業者である松下幸之助さんは「企業は人なり」と言いました。これは、企業の最大の財産、資源は人であるという意味です。
ただもう一つ意味があると私は思っています。それは、企業自身も人なんだということです。
企業の人格と、社長の人格は別です。社長イコール企業じゃありません。
企業には法人格というものがあります。法のもとに、個人と分けて人格が認められているのが、企業です。ですから、納税もします。あるいは企業市民とも呼ばれます。
いろいろ情報発信をしていても、社長以外にどんなリーダーがいるのか、どんな社員がいるのか、誰と関わっているのか、というのが見えないと、その企業の人格も見えてこないですよね。
例えば、顔写真が見当たらない。
ホームページも会社案内も、社長の顔以外は一切掲載されていない。あるいは、会社のイメージキャラクターになっているタレントの写真や、有料で購入したイメージ素材の顔写真は並んでいても、そこで働いている人の顔が見えない。
働く人や関わる人たちの、リアルな表情が見えないんです。
ということは、隠したいのかなと、あるいは社員が出たくないと思っている。社員がホームページに出たくない会社はどうなんでしょうか。仲間だと思われてないんだよねということです。
あるいは、ものは売りたいんだけど、付き合いたくないよね、という企業姿勢の表れではないかなと疑ってしまいたくなります。
これがまず、顔が見えないということです。
2, 表しか見えない
2番目は、「表しか見えない」です。
これは三つに分けています。
- 商品ばかり
- お金ばかり
- 価値が表れない
ホームページや営業資料で伝えているのが商品ばかりの場合があります。もちろん商品写真は大事ですが、そればかりではだめなんです。
顧客には分かりづらい性能や機能を、一生懸命訴えている場合も多いですね。でも今は均質化が進んでいるので、そんなに差は変わらないのにも関わらず、一生懸命そこを声高に訴えている。
でも人は出てこないんですね。これも残念です。
あとは、お金だけ。
価格や業績、競合企業の数字も大事です。ただ、なぜこの価格なのか、なぜこの業績が上がったのか、という理由が見えないんです。
表しか見えず、そこに至った経緯の裏側が見えないということです。ゆえに、価値が現れないんです。
一体社長の思いやビジョンはなんだろう。この商品を開発するまでにどんな苦労があったんだろうか。社員がどれだけ、どんな働きをして、今のこの現状があるんだろうか、といういうのが見えないんですね。
表舞台の、きれいなところしか見せないと、温度感も伝わらないし、付き合っていいのか悪いのか分からない。見立てはきれいだけどね、だから、価値が現れません。
3,ヒトが見えない
3番目は、「ヒトが見えない」です。
価値を生み出すのは誰か? それは人ですよね、あるいは会社、法人。
私は、取引関係には上下や貴賤はないと思っています。取引先は下請けではなく、顧客は上で絶対に言うことを聞かないといけないということもありません。
前回申し上げたように、自分たちにとって大切な仲間たちとともに価値を作る会社が成長し、生き残るんです。その仲間たちの顔が見えない、ということです。
もう一つ、価値を生み出していくその姿が見えないのも残念です。
社員の日々のありのままの姿が見えないし、声も聞こえないから、商品がどうやって作られているのかが見えてこない。
買ってくれたお客さんが、何を体験したのか、それも見えないんですね。買ってどうだったの、それも見せない。ていうことは、相手を見てないんですね。
SNSの情報発信を見ていていつも思うのは、誰に向かって発信しているんですか、ということです。おはよう、とつぶやく企業もありますけど、どの立場で誰に話してるんですか。
つまり伝わること、相手に分かってもらうこと、を意識せずに発信しているんです。
これは単なる独り言です。独り言で自分の価値は伝わりませんよね。
4,メディアしか見えない
四つ目、まあこれは前回も言いましたけど、メディアしか見えないんです。そこしか見てないんです。露出、メディア露出、報道に偏っています。
こんな事例がありました。
わが社はベンチャー企業なんですけども、大企業と提携しました。そこでテレビが入りました。有名な経済報道番組、皆さん知っている番組ですね。
そして2回も出ました。その時すごくアクセスが瞬間的に急増したんですけども、その間が埋まらないんです。アクセス上がらないんです。どうしたらいいんでしょうか、またテレビ出ればいいんですか、と。
実はその企業は、全国にいろんな各地の現場とネットワークがあって、その彼らが頑張って作った商品を、自分たちのあるプラットホームで売っているんですね。
どんな人がいて、どういうふうに頑張っているのかといういうその価値の源泉、価値を生み出している彼らのことを伝えないで、メディアに取り上げられるにはどうしたらいいのかということばかり考える。
2回は出ましたけど3回目は、、
本質からズレています。このように、露出したい、バズりたい、この傾向がいまだに続いています。平成の悪い広報が。
報道関係者が見ているのは、視聴者あるいは読者なんです。それが、あなた、皆さんのお客さんになる人たちです。BtoBもBtoCも関係なく、皆さんのお客さんになります。
そこを見ずに、考えずに、どうやったら露出できるだろうか、話題性があるんだろうか。ということばかり意識してしまう。
それは本質ですか、それはあなたたちが本当にやりたいことですか、ということですよね。
一過性で話題になればいいんでしょうか。話題になったらブームになって消えていきますよね、それが本当に企業の成長に、あるいはあなたたちの価値が伝わっているんですか、というところが大事です。
なので残念ながら、同業者を悪く言うのは心苦しいんですが、どうすればバズるんだろうか、メディアにどうやったら露出できるかな、というのがPR会社の会話では飛び交っています。そういう会話にしかなりません。手法に陥っているし、策におぼれてしまうケースが多いです。
私が思うには、もう、メディア露出で企業が成長するなんてことは幻想です。
じゃあ自分自身が、皆さんがですね、報道を目にしてその会社に電話なんかしますか?
よっぽど差し迫ったね、ものすごいドンピシャだったらあるかもしれませんが、めったに問い合わせしません。
SNSで情報に接して、行動を起こしたことがありますか?
炎上に参加している人は0.5%という調査結果がありました。ほとんどの人は傍観者なんです。(ネット上の)サイレントマジョリティーなんです。
ニコニコ動画があって、ある過激なユーザーのね、その動画の発言を見えないようにすると、ほとんど発言はされてない。つまり、なかなか行動しているようでしていないんですよ。目に見える形では。
幻想に近いと思っています。そもそもなんのために発信するのか、というところが見えていない。
5,つながりが見えない
5番目、つながりが見えません。点なんですね、露出もなんでも。これが線や面にはなりません。
例えばですね、これは実際の事例なんですが、定期的に社内報を発行してる会社がありました。年4回、印刷物として十何ページの冊子です。職員だけじゃなくて、社員以外にも配布しています。
でも、ホームページを見ても一切その面白い情報が掲載されていません。配りっきり。バックナンバーも見れないんですよ。印刷が切れちゃったら終わりです。
そういう状況です。それも残念だなと思いますね。もったいないですよね。
あと、プレスリリース。報道関係者向け発表資料のことをプレスリリースといいます。
今プレスリリースを一斉配信するネットの事業者がいるので、そこにたびたび一生懸命配信しているんですけども、自分の会社のホームページには一切プレスリリースのコーナーがないんです。掲載していないんです。
あともう一つ、雑誌とか新聞に記事が掲載されたとします。
著作権をちゃんと処理さえすれば、複製ができたり、リンクを貼ってよかったり、PDFや画像を載せてよかったりするメディアや報道機関もあります。
なのに、掲載されたものを買わない、著作権を処理しない、知らせない、配らない企業が非常に多い。何のためにやっているんですかと、そういう残念なケースもあります。
(ある会社の人が)ある有名なビジネス系出版社の講師として呼ばれ、そこで講演しました。(そこには)たくさんの聴衆がいました。リストを獲得したいがためにやっているので、参加者にちゃんと後でメールをくれたら、今回の知見、最先端のプレゼン資料を送りますよ(と伝え)、リードを獲得しました。
そこで、終わっているんです。
あなたの会社には、こんなにすごいお客さんがいて、たくさん使われているじゃないですか。報道もされている。それなのに伝えないんです。リードを獲得するためにやっているから、プレゼン資料を渡せばいい。全然広がりがないんです。そこだけ一点で終わってしまっている。
業界や専門領域で最大規模の展示会、ビッグサイトや幕張メッセでありますよね。そこに出展しました。そこで営業資料を配ります。パンフレットも一生懸命配ります。
でもお客さんの声を自分たちで取材した、そのお客さんの事例。あるいは、せっかく報道された報道実績を配らないんですね。顧客資料作ってもいないんですよね、せっかくお客さんがいるのに。
せっかく出展したのにその模様をあとでレポートして、まとめて、配ればいいじゃないですか。出展しましたよ、こんなお客さん来ましたよと。それも伝えない。
(「『つながり』が見えない」の2番目として)前後が見えないんです。点で、線や面が見えないんです。時間軸で前後が見えない。では、わが社のサービスをお客さんが導入しました、購入しました。なぜ導入したんですか。買う前(の話として)、なぜわれわれを選んでくれたのか。買って、あるいは導入して、利用して、お客さんはどのように変わったんですか。(そこが)全然見えないんです。見えてこない。
(次の事例として)取材を受けて、新製品、サービスの記事が紹介されました。
それで、終わっちゃう。プレスリリース(で発信する内容は)(新しいことを)やります、新製品(を発売します)。それでどうなったんですか。その製品を開発した舞台裏や、どんなお客さんが購入したのか、そういうことも知らせない。報道関係者にも知らせないし、知り合いにも、仲間にも伝えない。例えば、経営戦略を発表します。では、その経営戦略のもとになっている理念やビジョン(とは何なのか)。理念やビジョンがこうだから、われわれはこういう経営戦略を立てました。
立てるまでの過程はどうだったのか。それも実は生きたその企業の価値を生み出している現場ですから(伝えればいい)。でも伝わってこない、見れもしないし。
業績数字を皆さん発表しますよね。その数字を増やすために皆さんどんな取り組みをしたのか、どう関わったのか、一切見えてこない。
中小や中堅でもね、社長がSNSとかでしょっちゅうメッセージを発信している企業もあります。
でも、創業の背景とか、経緯とか、どんな思いだったのか、いままでどんな歩みをしてきたのか、これからどこに向かうのか、何をするのかということも見えてこない。
この五つですね。頑張ってるんですよ、一生懸命やってるけど、残念なんですよ。気付かない。
広報3.0を実践している事例を紹介
続いて、広報3.0を実際に実践している会社を紹介します。
その実際の取り組みを具体的に見ながら、広報3.0とは何なのか、そもそもの広報とは何なのかというのを、皆さんと一緒に見ていきたいと思っています。
これも五つに分けられます。
- 1,零戦里帰りプロジェクト
- 2,先進的なグローバル企業
- 3,大企業・上場企業
- 4,中小企業
- 5,スタートアップ企業
紹介するプロジェクトや企業は、すべて3.0を実践しています。この取り組みを見ながら、この真髄は何かということを理解していただけたらと思っています。
1,零戦里帰りプロジェクト
ではまず、第1話で少し紹介した、零戦里帰りプロジェクトというのがあります。
これは当社が支援いたしまして、0から始まって6,000万円調達いたしました。クラウドファンディングも実施し当時日本最高額の2,300万円を達成しました。
実際どういうことに取り組んだのかという、現場の話をします。
簡単に背景を申し上げますと、飛行可能な零戦をある日本人が所有していました。
当時世界に現存する飛行可能な零戦は5機しかありませんでした。そのうち1機は日本人、あとは全部アメリカ人が所有していました。そしてその日本人が、あるさまざまな事情があって、彼個人が3億5000万で購入しました。
彼はなんとかして、アメリカの博物館で所有していたこの零戦を日本に持ち帰りたいと。里帰りさせて、日本で飛ばしたいという思いを持って頑張ってたんですけど、なかなか実現できなかったんですね。
2011年4月に、友人知人を通じてその所有者に出会いました。
彼のさまざまな苦労をしている話を聞いて関心を持ったのと、広報だけでどこまでいけるか試してみたいと、という思いもあったので、支援することにしました。
既存の人脈を活用しようとしても、その所有者は日本人だけど海外にいて零戦も海外にあり見えないので、みんな胡散臭く思ってしまうので難しい。
どうしたか、2012年の9月に、渋谷でホテルの部屋を借りて、零戦里帰りプロジェクト記者説明会というのをやりました。
報道陣が10数名集まりました。そしてそれがきっかけで取材もたくさん増えて、結果的には、2013年3月28日に朝日新聞の社会面トップに出ました。
そして次に三つのことをかけ合わせていきました。
- 1,メディア戦略(つまり報道の力を存分に使うこと)
- 2,ウェブ・SNS
- 3,地上での人海戦術
この3つをかけ合わせて、実現させました。
まず、目的を掲げました。
零戦に思いを持っている人はたくさんいるので、まずわれわれは何のために零戦を里帰りさせて、何のために飛ばしたいのかを表現しました。
零戦はものづくり産業の原点である。戦争の象徴ではない。
零戦を日本の空を飛ばすことで日本人に、
戦争とは何か、平和とは何か、日本とは何だといった、本質的なことにもう一度目を向けてほしい。
そのための象徴として、零戦を飛ばそう。
という目的を掲げました。
そして、舞台裏を丁寧に伝えました。
ここで今皆さん見ていただいているのは、ロードマップです。
2014年1月、帰国したところから始まります。当時零戦を日本に持って帰ることは厳しいと言われていたんですが、無事に実現しました。
これはそのときの報道関係者向けの資料、プレスリリースです。零戦里帰り実現へと題して、報道関係者に向けて資料を出しました。
続いて、大変だったんですよまあ入ったんですけども、3分割して入れたんですけど、いろいろ税関の問題があったんですけど、ようやく日本に入りました。
次に、神奈川の山奥の倉庫に移動させました。そして、「ここに零戦がおいてあるから、お披露目会します。来てください」とメディアに情報を提供しました。すると、テレビとか新聞がいっぱい来てくれて、報道されました。
さらに今度は、さいたまスーパーアリーナのイベントホールを3,4日間借り切って、イベントを行いました。
その初日の、まだ一般の人が入る前に、報道陣を集めた記者発表会をやりました。すると、いろんな雑誌、新聞、テレビなど、60人を超えるかたがたに集まってもらいました。
帰国は11月4日。イベントは11月の下旬だったので、告知から2週間しかなかったんですが、結果、その報道の力もあって、4日間で6000人を集客できました。連日満員でしたね。
この画面に書かれているのも、当時のさいたまスーパーアリーナのチラシです。これも一生懸命配りました。その右が、零戦里帰りプロジェクト自体のチラシです。こういうのも使って一生懸命配りました。
2,300万円を集めたクラウドファンディングはどうやったのか、これも同じ時期です。
90日間で2,000万円を集めますよという目標を立ててスタートしました。
フェイスブックと連動させて、うちの担当者一人をそこに貼り付けて、毎日舞台裏の情報を発信しました。毎日。ずっと。この零戦の歴史とか、所有者の歴史とか、どうやって帰国するようになったのかも含めて。
いろんな人達がいろんなコメントをしてきました。中にはすごく強烈な嫌がらせみたいなのもあったんですけど、ブレずにすべてのコメントに丁寧に返信し続けて、目的からズレないということを大事にやっていきました。
支援者もたくさん現れました。その支援者に対して、けっこうなお金を出してくれるんですね、応援しますと言ったので、じゃあ、チラシ配ります、送ります、と言って、郵送で先ほどのチラシをまあ、100枚200枚送って、その彼が、自分の近所にこう、投函してくれる、そういうことをずーっと繰り返してったんですが、残念ながら、残り十日間で640万円不足してたんです。
もうダメかもしれません。というニュースレターを作り報道関係者に配ったところ、南日本新聞とBIGLOBE NEWSで取り上げられて、一気に火が吹きました。大変ですよと広がって、なんと十日間で1,000万円弱が集まって、無事達成できました。
これは当時一位だったのが分かる写真です。
達成率117%、23,444,000円、一応当時一位ですね。
実際のプロジェクトページです。
1,018人の人に協力してもらいました。Facebookは3万いいねいきました。
そういう活動を続けて、最終的には鹿児島に運搬して、海上自衛隊の鹿屋航空基地で、いろんな条件を満たして預かってもらって、2015年の1月に鹿屋航空基地の上で飛びました。
でそのあと、民間会社の格納庫、鹿児島に保管して、そこでいろんな支援者来てもらい、もう組み立てた零戦に乗ってもらい、写真撮ったりとかいろんなことしました。
最終的には5月27日から29日の3日間で一回鹿児島の上空を飛んで、そのあと鹿児島から熊本に行って、熊本からまた中国地方に行くなとして、日本の空を飛びました。
これが、ゼロ戦里帰りプロジェクトの広報3.0です。報道も使う、SNSも使う、人づてにも配ると。この3つを組み合わせて、短期間で実現することができました。
2,先進的なグローバル企業
次は事例の2番目、先進的なグローバル企業は、広報3.0を実践しています。その事例をお話いたします。
そういう企業は、ニュースルームというのをWebサイト上で開設しています。オープンにしてどんな人でもアクセス可能な状況にしています。
まず最初に、皆さんご存じのトヨタ自動車さんの実際のホームページを見てみます。
トヨタ自動車のニュースルームインサイドトヨタ
これはトヨタさんのニュースルームというページです。実はコーポレートサイトがあり、当然、ブランド、商品サイトもあるんですが、それ以外に、ニュースだけ載せているニュースルームというのがあります。
見て分かるように、ニュースルームの中でも、コーポレート(企業ネタ)、トヨタ、レクサス、インサイドトヨタ、動画・画像ダウンロード、というふうに分かれています。
この、インサイドトヨタ、を見てみましょう。
このインサイドトヨタは、社内報なんです。社内の情報配信サイトという位置づけなんです。なのに、誰でも見れるようにしている。
単なる車の話じゃありません、まあ、いろんなレースの話、あるいはその支援しているアスリートの話、見て分かるように健康チャレンジ、健康のすすめとかですね、ジュネーブモーターショーでなんかやりましたとか、とにかく、ありとあらゆる、社内の出来事、社員たちの話題を、オープンにしています。
もちろんトヨタさんは、報道、広告があって、報道関係者も、IRも含めて、あるいはお客さんにも、とにかく情報を発信しています。でも、こういう形で、ウェブサイトにまとめて誰でも見れる形で、社内の情報さえも発信しているというのがトヨタさんです。
次ですね。オムロンさんの事例に移ります。
オムロンさんのを見てみますと、オムロンさんも、ニュースルームというものがあります。
ニュースルームオムロン
トヨタさんはものすごい膨大な量の画像や動画があって、しかも、高解像度、きれいな動画をいっぱい上げているんですが、BtoB企業のこういう形で、おとなしくみえるんですが、ちゃんとニュースルームというのを作っています。
ここにニュースリリース一覧とか、バックナンバーとか、カンパニー別一覧とか、受賞歴とか、いろんなふうにこのニュースルームに掲載しています。
そんな中で面白いのはですね、EDGE&LINK(エッジアンドリンク)というページがあります。
EDGE&LINKオムロン
これはオムロンが一体どんな価値を作り出しているかというのを自分たちの利害関係者、仲間たちに知ってもらうためのコミュニケーションサイトです。
なので、社員がすごく出てきます。オムロンと関わったりする人たちもたくさん出てきます。ビジュアルもきれいです。
こういうのを熱心に作っているのがオムロンさんです。オムロンさんの場合は、社員が主役という考え方なので、社員が仕事にどうやって取り組んでいるのか、自分がどういう社会課題を解決するために取り組んでいるのかということを結構詳しく情報発信しています。
3,大企業・上場企業
続いて3番目、大企業、上場企業の例です。これも2社紹介します。
これはどういう例かというと、ウェブをとにかく積極活用して社内外に情報を発信しています。
エン・ジャパンさんの「en soku!」(エンソク)というものがあります。
後ほどサイトを見ますが、面白いのはウェブ社内報なんですね。コンセプトがあって、「まるっと公開、社員みんなで作る広報」、というビジョンを打ち立てて、社員280人が書き手になるんです。
en soku!エン・ジャパン
ライターと言うと重いし、ちょっと緊張しちゃうんで、レポーターという名前で、完全内製型です。外注してません。
毎日社内外に発信しているんです。社員だけじゃなくて親しい関係者含めて毎日発信しています。
ビジネスの内容があり、プライベートもある。とにかく広い内容を扱っているので、内定者が入る前に文化に触れて、エン・ジャパンはいいですねと、会社に愛着心が生まれた。
あるいは先輩社員の活躍を見て、自分もこうすればこんなふうなキャリアを積んでこんなふうに頑張れるんだというロールモデルを見つけた社員がいる。
あと、最初は乗り気じゃなかった経営トップも支持するようになって、かつて辞めた社員が復帰するとか、あるいは新聞社がこれを見て取材に来るとか、とにかくいろんな現象が起こってきたんですね。
実際見てみますと、毎日更新と書いていますね、新着情報続々、すごいんですよ、働いているママとか育児で頑張っているパパとか、とにかくものすごい情報量を発信している。これを社内外に向けてやっていますね、すごくオープンな会社です。これも広報3.0だなというふうに思います。
続いて、ANAさんですね、有名な全日空さんです。広報部門主導で、What’s up? ANAというのを、2015年に開設しました。
What’s up? ANAANA
これはなんとかしてブランド価値を向上させたいというのが狙いで、ファンの共感獲得に挑戦しようということで始めました。
同時にANAさん別のSNSでは、CAや整備士を取材してですね、働く姿、われわれが普段見えない姿を発信しています。非常に楽しい、画像いっぱいのね、情報出ています、これがANAさんです。
4,中小企業
続いて、4番目
次はですね、大企業、上場企業ときましたから、中小企業です。
中小企業でも頑張っている企業があります。特徴は、とにかく接点を増やすことですね。自分たちの姿、あるいは価値を生み出すその背景、舞台裏を知ってもらうための接点を増やすし、その機会を逃さずにやっている。
だからウェブでもそうだし、紙でも、両方で発信し続けていますね。
一つは、ニュートン・コンサルティングという会社があります。
これはリスクマネジメントのコンサルティング会社では日本で一番の会社ですね、社員80人。ほとんどお客さんは大企業です。皆さんが知っている大企業です。
お客さま事例ニュートン・コンサルティング
ここの事例を実際見てみますと、お客さま事例なんです。これ、すごいんです。業界のカテゴリ別で検索できるくらい。
とにかくすべてのお客さんに、一つリスクマネジメントのプロジェクトが終わったら、インタビューしに行き、全部聞いて、担当者の写真とコンサルタントが握手してる写真とか、担当者が話している写真とかを情報発信しています。
それをウェブだけじゃなくて、紙にもして、営業マンが持っているし、コンサルタントが持っているし、あるいはなんかセミナーのときも配っている。とにかく徹底してやっている。お客さま事例がものすごいあるんです。ほぼすべての業界を網羅してる。
次ですね、コミュニティセンターという会社があります。これはマンション管理代行などの人的サービス事業をやっていまして、こちらも主要なお客さんはほぼ大手のマンション管理会社です。
ここも毎月広報紙を発行しています。A4表裏のたった2ページですが、毎月発行して4年経っています。これを登録スタッフ800人に毎回郵送しています。と同時に、ウェブにも掲載しています。
コミュニティセンター便りコミュニティセンター
このおかげで、今まで新聞広告をどれだけ頑張っても採用できなかったキャリアの経験者を採用できました。
そのホームページに来て、企業理念を読んでみて、それを実践している多くのシニアが活躍する姿がそこに当時24,5人の声が載っていたんです。それを全部読んで、ほかは就職活動しないで、そこに再就職しますと言ったくらいです。
あと、基本的にはマンションに直行するんですよ、管理代行なので。
ということは普段、誰も社員には会えないし、同じ仲間にも会えないんですけど、この広報紙がつながりになって、先輩も頑張っている、困ったら、いっぱい溜まってくるんで、この先輩の事例を使ってなんとか解決しようと、すごく働きがいにつながっているし、ずっと働き続けようというつながりもつながっています。
社長自身が一番の読者なんですね。うちのスタッフ、こんなに頑張ってくれてるんだと。そしてこれも、紙でも発行しています。
ページには、働くひとの声や顔がたくさんならんでいます。
あとは、(登録)スタッフだけでなく、社員(への取材)や社長からのメッセージ。懇親会、あるいは、研修の模様や体力測定会とか、とにかく紙で作ったものを全部(ウェブに)載せているんです。
営業担当者も、それを持っていく。そういう取り組みをしています。
5,スタートアップ企業
最後にですね、スタートアップ企業、ベンチャー企業の事例をお話します。
ここはですね、アプリクッキングといいます。
アプリクッキングNEWS・ほやほやアプリクッキング
実際、実物を持ってきました。アプリクッキングニュース。これは月2回発行しています。4ページです。お客さま向け情報誌。とにかくお客さまと名刺交換したら全ての人に配っています。うちにもきましたから。
あとはもう一つ。「ほやほや」というのがあります。これは、アプリクッキングのアプリを実際に導入してくれたお客さまのところに、毎月行って取材しています。
毎月4社、実際に導入した人の写真を撮って声を聞いて取材をしています。毎月やり続けています。ずっと。
ここも非常に熱心に取り組んでいます。アプリの会社だと、ウェブしかやらないだろうと思うじゃないですか。でもここは、アプリの会社なんだけれども、毎月社長や社員たちが袋詰めして、透明の袋に入れられて送られてきます。
とにかく若いですのでね、ニュースレターがいいよ、広報紙作ったらいいよという話を私がしたところ、即実践して、ずーっとやり続けています。これは広報3.0的ですね。
このおかげで、お客さんが、うちこんなのやってるんだって言ったら、まあ競合なんですけどね、でもそれを見て、お客さんがお客さんを呼んでくるという現象も起こったほどです。
彼らは展示会に出展しても配るし、会社に行っても積んでいっぱい置いてあるし、とにかく接点があるところは逃さずにどんどんやろうというところで熱心にやっています。これも、本当に広報3.0だなというふうに思います。
以上でですね、今回の第3話は終了です。広報3.0じゃない残念な広報は何なのか、また、実際広報3.0を実践している企業、さまざまなジャンルでね、それを紹介しました。
ワークに取り組もう!
最後に、また今回も、演習があります。また二つです。
大切な仲間=利害関係者たちそれぞれと日ごろどんなコミュニケーションをしていますか?
前回言ったように、皆さんの関係者は、社員も取引先もお客さんもみんな大切な仲間です。
その彼らと日頃、どんなコミュニケーションをしているか、具体的に記載してほしいんです。
ちゃんと冊子作って出していますよ、あるいは月一回ミーティングしてるんですよ、とか、
あるいはセミナーで定期的に集まってもらっていますよとか、あるいは、いつもどうですかって営業マン頑張って、お客さんの声聞いてきて、それをちゃんとまとめていますよとか、いろいろありますよね、
だから、各利害関係者ごと、社員、顧客、取引先とか、パートナーとか、前回の、課題のときに挙げた、50字で書いてもらった、あのジャンルに分けて、それで、具体的に日頃どうやっているのかと、ちゃんとやっていますかという話ですね。
今、大切な仲間=利害関係者たちにどう思われていますか? 今後、どう思われたいですか?
もう一つは、大切な仲間たちに、今どう思われているのか、どう理解されているのか、ということです。
普段聞いていれば分かるでしょうし、多分こうだろうなと推測してもかまいません。
と同時に「でもそれはわが社のビジョンや理念と違うよね」「本当はもっとこういう会社なのに」ということもあると思います。
その「これからどう思われたいのか」「どう理解されたいのか」「わが社はこういう会社なんだよ」ということを、言葉にしてみてください。
次回予告
以上で、今回の第3話は終了です。
次回は第4話、最終回です。
最終回は、実践です。
実践のために絶対やってほしい五つのことがあります。
その五つを、皆さんに伝えますので、ぜひ、ご期待下さい。
以上で終了です。ありがとうございました。
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以上三つです。
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それでは、あなたのコメントお待ちしています。
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