【令和時代の新・経営戦略】第2話 広報の魅力と企業コミュニケーション

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今回の課題は、

・今回の感想
・貴社のおよその規模を教えてください(年商、従業員数など)
・貴社の「わが社らしさ」を教えてください

以上三つです。

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目次

はじめに

皆さんこんにちは。株式会社AGENCY ONEの荒木洋二です。

今回は令和時代における、新経営戦略の第2話目です。

今回は広報の魅力と企業コミュニケーションと題してお話を進めてまいります。

まず、前回の内容を今一度振り返ります。

そのあとに、何度も第1話で言った「広報」。広報とはそもそも何なのかということを整理します。

次に、皆さんが勘違いしている、広報と広告はいったい何が違うのか、ということを今一度整理します。

そして最後に、広報3.0の時代、令和時代は広報3.0の時代です。これがどういう時代なのかということを、広報1.0、2.0を振り返りつつ、皆さまに伝えていきたいというふうに思っています。

前回(第1話)の振り返り

前回の結論は、企業の成長と存続に、魔法の杖はないということでした。何か一つのことで、劇的に変わるということは絶対にありえません。

皆さんが思いがちな魔法の杖(の例)

「マーケティングを強化しよう!」
「営業を強化しよう!」
「テレビや日経新聞で報道されれば問い合わせが増える!」
「SNSでバズらせよう!」

上記のような言葉が、企業社会ではびこっています。割と目新しい手法を魔法の杖と思いこんでいるのです。

では、なぜ大企業は大企業になれ、今も成長しているのか?

結論を申し上げますと、あらゆるコミュニケーション活動を組み合わせて、積み重ねて、継続して実行してきたから今があるんです。

よく広報の成功事例は何かありますかいわれるんですけれども、皆さんが知っている大企業、誰でも知っている企業、まさにそれがその事例です。

大企業はみんな地道に広報してるんですね、だから皆さんが知っているのです。広告だけで知っているわけじゃないんです。

第3話ではもう少し具体的に会社名を入れてその成功の事例を見てみます。

私がお伝えしたいのは、自分の会社の経営の中に広報を組み込みましょうということです。

広報に取り組めば競合に差をつけられる

中小企業の多くは、DM(ダイレクトメール)や広告に取り組み、いろんな展示会、イベントに出展もしています。

でも広報は全く分からないのが、ほぼすべての中小企業、中堅企業の現実です。

つまり、ほとんど皆さんのライバルとなっているような中堅、中小企業は、広報に取り組んでいないのです。

ですから、広報に取り組むことによって、経営に広報を組み込むことによって、この競争社会、この激しい時代を生き抜いていけるということです

まず広報とは何かをちゃんと正しく知りましょう。広報の考え方と、広報を実践できる能力を身に付けていきましょう。そしてそれを実践しましょう。

特に考え方が重要です。どんなに能力があっても、考え方が狂っていると使い方を間違えてしまいますので。

では、そもそも広報とは何か、ここから説明します。

そもそも広報とは?

広報とは手法ではなくて、経営における欠かせない重要な一つの機能です。まず簡単に言葉の由来とその意味について説明します。

広報は、米国から来た言葉です。略してPRといいます。パブリック・リレーションズの頭文字をとって、PRです。パブリックとは、公共、あるいは公衆を意味します。今でいうと、企業でいうと、企業を取り巻く関係者のことをパブリックと言っています。

中国だと、そのまま公共関係というように訳していますが、なぜか日本では広報と訳されています。企業を取り巻く関係者のことは、日本でよく使われる経営用語で言いますと、利害関係者、ステークホルダーといいます。

PR、パブリック・リレーションズを意訳すると、利害関係者との良好な関係構築、良好な関係作りです。

PR(パブリック・リレーションズ)は、よくプロモーションやプロパガンダ、アピールと間違われます。しかし、プロモーションはPRじゃありません。促進です。プロパガンダというのは政治的宣伝です。これもPRじゃありません。

そして、マスメディアとか報道関係者のかたも間違っているのですが、よく自己PR、観光PRという言葉が当たり前のように飛び交っています。でも、これはPRではなくアピールです。就職するときは自己アピールですし、観光地をアピールしてるんですよね、

このように、用語が間違って使われてしまっているケースが多いです。

パブリック・リレーションズ、良好な関係を築くためには、企業として、自分にとって大切な関係者とのコミュニケーションが欠かせません。

自分のことを知ってもらうこと、相手のことを知ること、そういう中で関係は結ばれていきますので、それをより深くしようと思ったら、自らのことをいかに伝えていくのか、あるいは相手のことを理解する努力をするというコミュニケーションが絶対に欠かせません

しかしカタカナ用語の氾濫が、企業社会に少なからず混乱を招いています。

カタカナを使った経営用語を整理しましょう

今、企業社会では、カタカナを使った経営用語が氾濫しています。これをまず整理しないと、通じません、同じマーケティングという言葉を使っていても、違うことを言っている場合があります。大企業の中でも多々見られます。

マーケティング、ブランディング、PR、パブリシティ、オウンドメディア、、、

それぞれが一体どういう意味なのか、きちんと整理しましょう。

大企業のかたがたと話していても話が噛み合わないんですね、それぞれ使っている意味が違うからです。

例えばマーケティングとはなんですかと。マーケットは何かというと市場ですよね、日本語にすると市場と関係するすべての行為がマーケティングです。

市場には競合も含めたプレイヤーがいる、取引先もいる、顧客もいる場所をもって市場といっているわけですので、その市場と関係するすべての行為、つまり売るための、販売するための、そういう顧客を獲得するためのすべての行為をマーケティングというふうにいえるかもしれません。

そしてセールス・プロモーション、SPって言いますね。これは販売促進です。

よくITの世界ではCRMといいます。これはカスタマー・リレーションシップ・マネジメント、つまり顧客関係管理、顧客を管理するデータベースのことをいいます。これは顧客との良好な関係を長く続けていきたいから必要なのです。顧客生涯価値(ライフ・タイム・バリュー)といって、ずっと長く顧客と付き合うことが実は企業としては成長につながるんだという話がありますが、それと同じです。

そしてIR(インベスタ・リレーションズ)は、投資家や株主向けの広報のことをいいます。

などなど、いろんなことがいわれていますけど、それぞれの大切な関係者とどう関係を築くのか、あるいはどう自分のことを伝えていくのかという意味においては、企業のコミュニケーション活動の一環というふうにもいえます。

うちの会社はブランドとブランディングというのは自分勝手に、われわれなりに定義付けをしています。ブランドとは何か、これは、多くの人、組織から選ばれ続けている商品、企業、あるいは、長い間選ばれ続けている商品や企業、このことをブランドといいます。

では、ブランディングとは何かと言うと、選ばれ続けるための活動のことをブランディングと、そういうふうに理解しています。

このように、言葉の理解を共有した上で、お互いに関係を、会話をしていけばいいですね。

広報は米国で始まった

ではですね、広報の誕生と歴史について簡単に説明します。

先程申し上げたように、もともとは米国から来たので、まず米国の広報の誕生と歴史、次に日本の広報の誕生と歴史、というふうに解説していきます。

 

米国では19世紀末に鉄道会社によってなされた活動が近代的PRの幕開けといわれています。

鉄道を通し、街ができ、地域住民が暮らしている。そんな環境をつくるためにはどうしたらいいのか?

鉄道を造るためには、鉄道の沿線(住民)、運行するための労働者(車掌や運転手)が必要です。そのことを、どうすれば社会から理解してもらえるのか。

ちゃんと社員もずっと長く働いてほしいから、社員とどうやってコミュニケーションしようか。

自分たちの存在意義を伝えなきゃ、あるいは地域社会の住民に対して、皆さんのために鉄道会社はこんなことをやっていますよ、と理解してもらわないと鉄道は通らないんですよね。

こういったところから広報は始まりました。

 

そして、20世紀に入ってから米国ではPR会社、つまり、パブリック・リレーションズを企業から請け負って、代わりに担っていくという会社が誕生しました。

同時にメディアが発達したので、そこでパブリシティ、つまり、企業が報道関係者、メディアに情報を発信して彼らがそれを伝える、このパブリシティの時代が米国にやってまいりました。

まさしくですね、米国のつくった民主主義によってPRは誕生しました。そして、第二次世界大戦後に世界に普及していきました。資本主義と一緒に広がっていきました。

 

米国は、鉄道会社でパブリック・リレーションズが始まり、一度パブリシティの時代もあったのですが、もう一回戻ってきて今はまたパブリック・リレーションズ中心になってきています。

なので米国は、パブリック・リレーションズの文化なんです。大学の専門家の数や専門の学科は、日本よりはるかに多いです。ありとあらゆる大学にあります。そしてPR会社、われわれのようなPR会社の売上も人数も、日本とは桁が違います。

では一方、日本へのパブリック・リレーションズ(広報)の誕生、導入の経緯、背景についていいますと、南満州鉄道とGHQ(連合国総司令部)、そして電通が鍵となります。意外に、広告代理店の電通、これが始まりです。

企業社会への普及は戦後、1950年代です。

自治体においては、GHQが民主主義を日本に根付かせるために、すべての市町村、自治体に広報課とか公聴課をおきました。それは、住民、市民、国民の声をちゃんと聞いて、あるいは作った政策をちゃんと伝えていくために作りましたので、ほぼすべての自治体の中には、広報課あるいは広聴課というものが設置されています。

私は人口30,000人に満たない伊豆・下田市の出身なのですが、そこでは広報誌が毎月送られてきています。行政社会にはわりと広報という文化は定着しています。

日本の企業社会はどうかというと、1950年代に、日本航空、東京ガス、松下電器が先陣を切りました。松下電器の初代広報部長は松下幸之助さんです。で、社内報というものは20世紀が始まるくらいからあったのですが、本格的に企業社会で広がっていったのは、1950年(代)以降です。

社内報も出てきたし、お客さま向け情報誌、広報誌も同時期に本格普及して、コンクールなどが行われるようになりました。PR会社も同時期に外資系から始まり、1960年を越えてから、国内の独自のPR会社が出てきました。

日本は広告文化だった

ただですね、皆さんよくお分かりのように、そして広報がほとんど中小企業に広がっていないことからも分かるように、残念ながら日本の企業社会は広告文化です。広報は文化になっていません。

ただ、大企業には広報部署があります。ただ、大企業以外には広報の部署もないし、人材もいない。大学にそういう専門の学科も少ない。一昨年、大学院ができましたけれど、まだまだとても少ないです。

もう一つ私が残念に思っていることは、広報=パブリシティというのが一般的な認識だということです。

パブリシティは、あくまで広報の一つの手法なのです。あるいは一側面なのです。だから狭い意味ではそういっても間違いではありませんが。本来は広報=パブリック・リレーションズなのです。

広報と広告の違いとは?

続いて、広報=パブリシティという認識が一般的になっているんですが、その視点から、広報と広告、一体何が違うのかということをお話しします。

大企業のかたはお分かりかと思いますが、そうじゃないかたがたはほとんど同じように思っているし混乱してしまっているので、その違いを整理します。共通するのは、対象がメディアだということです。

違いは、六つあります。

違い① メディア側の担当部門

まず、メディア側の担当部門です。広報の場合は、相手をするのは記者です。なので報道局、編集局が、接する側の担当です。広告の場合は、広告局です。

これ、あえて僕はメディアと言っています。しかし、報道部門と広告部門と分かれていますので、同じメディアといっても、報道なのか広告なのか、全然違います

違い② メディア側の掲載面

2番目は、掲載面、あるいは報道される時間帯が違います

広報の場合はニュース面です。当然、新聞だったら記事そのもの、TV番組だったらニュース番組や報道番組です。

では広告はどこに掲載されるかと言うと、当然広告面です。だから必ず新聞や雑誌も、広告とかPR、これも間違ったPRなんですけども、広告、とかPRとかちゃんと書かないとだめです。「これは記事じゃありませんよ」「企業がお金を払って自分たちの主張を書いているから、決して第三者である報道機関が選別して書いたものではないですよ」と分けるために必ず広告ってことを全部書いてあります。

広告はページ数にカウントしていない雑誌もあります。このように明らかに掲載面が違うんです。テレビでいえば、CM、ご存じのようにあれはもう広告で、お金を払って情報を流しています。

違い③ 選択・決定権

次は選択・決定権が違います。

広報の場合は、報道するのは報道関係者たち、メディア側なんです、編集権はメディアにあります。

一度取材を受けたら、事実(取材)に基づいている限り、彼らがどう書くかどう捉えるかは、彼らに決定権があります。ですから(報道する前に)記事は見せてくれません

「新聞記者に取材を受けて、(記者に対して)「(報道する前に)記事を見せてくれませんか」っていう人がいるんですけども、だめです。それは彼らの権利です。

ただ広告は、お金払っているのは企業ですから、決定権は広告主にあります。公序良俗に反しない限り、何を書いても大丈夫です。言いたいことを言えばいいのです。

違い④ 情報発信主体

そして、情報発信の主体が違います。

広報は先程申し上げたように、選択決定権は彼らにあるので、メディア側が、会社のことを報道するんです。それは彼らに編集権がある、だから記事になったものを、あるいは報道されたものを録画して、それを勝手にコピーしてばらまいたらだめです。それは著作権違反です。自分たちが報道されていても、報道の情報発信の主体は彼らにあるので、彼らのものなんですよね。

ただ、広告は違います。お金を払って出していますから、企業の言いたいことが言えるんです。なので広告をほかで使っても構いませんし、何回ばらまいても誰も文句は言いません。

違い⑤ 情報の特性

5番目は、情報の特性です。

広報は、今まで何度も言っているように、記者が取材して書くので、客観的です。広告は、自分たちが言いたいこと、特に使ってもいない芸能人も、使っているかのようにイメージでキャラクターで選んでやりますよね、だからもう極めて主観的、イメージ形成で使っています。

で、先ほどとちょっとかぶりますが、情報内容が違うんです。

広報はあくまでも事実、ファクトに基づいています。企業のファクトをちゃんと報道陣が、報道関係者が現場や現地や人に直接取材して、その事実を伝えるのが報道です。なので捏造するとやっぱりメディアは叩かれますよね。

広告は何かといいますと、あくまでもイメージなんです。印象形成、印象を形作る。自分たちの主張だけ、ですね。大きな違いです。なので、有名な女優とか、俳優とか使ってる、普段は使ってなくてもね、彼らに登場してもらって広告を打つ。これは、印象、イメージ形成のためにやりますので、広報とはまったく違います。

違い⑥ 情報内容の基準

令和時代の広報「広報3.0」とは?

それではですね、広報3.0の時代と題して話します。令和時代に広報はどうあるべきなのか、ということです。

まずですね、令和の広報に入る前に、昭和の広報ってなんだろうか、平成の広報ってなんだろうか、ということをまず振り返ります。振り返った上で、われわれが生きている令和時代、どうすべきかということを皆さんに伝えてまいります。

昭和の広報「広報1.0」はパブリシティ主体

昭和の広報は広報1.0とわれわれは名付けています。これはパブリシティ主体の広報です。戦後になってから日本はマスメディアが非常に発達しました。新聞は戦前からもあったんですけども、今のとは様相が違います。

第二次世界大戦が終わってから新聞は成熟してきましたし、テレビが1950年代に登場しました。これは圧倒的に影響力がありました。大量生産大量消費時代を後押ししたのがテレビです。ほとんどのテレビ局は(最近)だいたい開局55周年とか60周年というふうに言っています。

同時に今度は雑誌が増えました。週刊なんとかってあるじゃないですか、あれは戦前はわずか2、3冊しかなかったんです。でも1955年60年以降、雑誌はどんどん増えていきました。

なので、パブリシティ主体の広報、マスメディアの時代だったんです、昭和の時代は。

しかも日本は、世界一の新聞大国です。世界で最も発行部数の多い新聞は読売新聞です。と同時に日本は地方紙がものすごいんです。どんな都道府県でも地方紙ありますよね、(私の出身地には)静岡新聞があるんですけども、あと伊豆新聞もあるんですよ、で今神奈川に住んでるんですけれども神奈川新聞があります。(地方紙は各地域で)圧倒的な世帯普及率があって、実は全国紙よりも地方紙のほうが広がってるんです。多い県では世帯の7割、6割、7割が地方紙をとっているというケースもあるほどです。

それはなぜかというと、全国に記者クラブというものが張り巡らされているんです。これは日本の特徴ですね。機会があったら話しますが、それゆえというのもあります。

であとはまあ雑誌も、男性誌、女性誌、総合誌、で男性誌の中にも、コロコロコミックとかいろいろあるじゃないですか。小さい頃から大人まで趣味の雑誌と、とにかく雑誌もとても多く、全世代に浸透しています。

当時大企業は、社長のメッセージを、新聞でインタビューされているのを見て、「ああ、うちの社長こんなこと言ってる」と知ったりしていたくらい、マスメディア全盛の時代が、昭和の時代です。

平成の広報「広報2.0」は、メディア依存の広報

ただ、平成に入って広報も変わります。平成に入ってからは、メディア依存の広報になりつつあります。

マスメディアがあまりにも大きくなりすぎたがゆえに、大企業でさえもマスメディアに依存するような方向にいきました。

と同時に、平成の30年間で、既存メディア、マスメディアがどんどん衰退していきます。

広報1.0の限界が見えてきたことと、変わっていったのが平成の広報です。そもそも広報は何かという目的を手段にしてしまう、これを履き違えてしまっていたのです。メディアに取り上げられるためにはどうしたらいいんだろうか、露出獲得って言葉がPR会社で流行っていましたし、多くの広報部がそういう言葉を使っています。大企業も。

メディアで報道されればいい、露出されればいい。そのためにどうするか、これは完全に依存しているんですよ。自分で発信することを忘れて、メディアでどう取り上げられるかに意識がいっちゃってるんですね。

そして記事広告、専門用語でペイド・パブリシティと言いますが、記事みたいな広告をお金出して買う、お金出してスペースを買って出す広告も流行りました。決してお客さんを騙しているとは思っていないでしょうが、そう見えかねないことを平気でやってしまっていました。

平成に入って10年経った1997年が、新聞の発行部数がピークで、約5400万部ありました。でも直近の2018年はそこから下がり続けて4000万部を切りました。雑誌の発行部数のピークも、1997年で5億2000万部、ただ、それが頂点でずっと下がってきました。

マスメディアが衰退してどうなってきたかというと、報道の質が低下していきました。とくに平成の最後はフェイクニュース、ネットと相まってフェイクニュースによって混乱するようになりました。

マスメディアの力が落ちると同時にインターネットが登場して、令和に入る前は、SNSもすごく発達しました。そうすると今度はデジタルメディア依存になりました。SNSでバズればいいんじゃないか、っていう話ですね。そういうふうに変わっていきました。

企業社会では、平成に入ってからホームページは当たり前になりました。中小企業がとりあえずホームページだけ持っているというケースは多いんです。インターネットの登場によって個人ユーザーが情報発信できるようになり、個人で放送局を持っているようなものだと話題にもなりました。

10年くらい前は掲示板、CGM、コンシューマー・ジェネレーテッド・メディアって言い方をしていました。そこからブログが出てきて、今はSNSって言っていますよね。平成の最後のほうは企業社会はSNS開設ブームです。どんな小さい企業でもとりあえずフェイスブックやろうよ、で毎朝おはようっていうだけで終わっちゃってるみたいなね、ちょっとなんか本質からずれたことが出てきました。

もうひとつはステルス・マーケティングですね、やらせです。ネット上でやらせをして、消費者を騙そう、勘違いさせようという、企業の姿勢、心根が問われる、そういうやり方もかなり横行しました。

なんですかね、騙そうと思ってるんですよね結局それは。だってやらせなんですから。それを本当かのように見せるんですから。その姿勢は良くないですよね。だから本来の広報とは全然違います。

なので、平成時代はやはり同じく限界で広報2.0が、目的と手段が履き違えてしまって、あらぬ方向、本質とずれた方向に行ってしまったのが平成でした

令和時代は、本質に立ち返る「広報3.0」が重要

では、令和時代の広報はどうあるべきか、広報3.0というふうにいっています。

広報には今、四つの大きな変革が起きています。

もう少しPRらしさの立場でいうと、結構PR会社も言葉の使い方が曖昧なんです。意味も曖昧。

よく使われる言葉は、マーケティングPRやコーポレートPR、そして戦略PR。

マーケティング・パブリック・リレーションズ? 戦略PR? そもそも広報って戦略ですよね?

それがみんなかっこいい言葉のように使う、そもそもなんなのかってことです。

 

どういう変化が起きてるかと言うと、発信する「情報」「目的」「場所」「理由」、この4つが大きく変わってきています。

 

変革① 発信する情報:「製品」から「企業の人格」へ

まず情報は、商品だけを売ろうということではなくて、企業そのもの「企業の人格」を伝える方向に変わってきています。

 

変革② 発信する目的:「売るため」から「選ばれるため」へ

発信する目的も、売るためじゃなくて、選ばれるために変わってきています。知らないってことは存在していないに等しいんですよ。わが社のことを誰も知らない、知ってくれてない、だから選択肢に上がっていないんです。選択肢にすら上がってないんです。だから選択肢にまず上がって、それから選ばれなきゃいけないんです、そういう時代が来ています。

 

変革③ 発信する場所:「マスメディア」中心から「自社媒体(メディア)」中心へ

今までは、発信する場所はマスメディアが中心でした。なので「なんとかマスメディアに報道されよう」となっていましたが、これからは自分自身で媒体を作って自分自身で発信していく、というふうな時代に変わっていきます。

 

変革④ 発信する理由:「顧客」獲得から「全ての利害関係者」からの信頼獲得へ

そして、目的ともリンクしますけれど、発信する理由は、お客さまを獲得するためではなくて、すべての利害関係者、自分にとって大切な関係者からの信頼を獲得するために情報を発信するんだ、というふうに変わってきています。

 

なので、令和時代の広報「広報3.0」とは、広報の本質に立ち返る時代です。

「広報とは何?」
「そもそも企業とはなんだろうか?」

そこから問い直すのです。

企業のコミュニケーション活動という話を前回言いましたが、じゃあその企業ってそもそもなんなのって、なんで存在してるのって、ここに立ち返らないと、広報の本当の意味なんて理解できませんし、実践も、間違った実践になってしまいます。

ですから、カタカナ用語が、われわれ日本人の思考を鈍らせたり、思考停止に陥る危険をはらんでいると私は思っています。

なので、本来の人間がもっている論理的思考力を発揮するために「あえて全部日本語に置き換える」、小学生でも分かる、中学生でも分かる広報が、広報の本質をつかむのに一番いい方法だと考えています。

私も中小企業の社長とずっと相対してきていますが、そうやって伝えないと間違って伝わってしまうんですね。そもそも何かってことです。ですから、ここからはあえて、第3話以降もそうですが、あえて日本語でみんな表現します。

なんか小学生っぽいな中学生っぽいなと、なんかカタカナ用語がないなと違和感を感じるかもしれませんが、あえて日本語で本質を見つめ直します。

企業は利害関係者(仲間)の協力支援なくしては絶対に成長できない

企業は、自らの力だけで成長できるのか? 生き残れるのか? それは無理です。

大切な人、会社の協力・支援、彼らとの関わりなくしては絶対に成長できませんし、生き残れません。

利害関係者というのは、利益も(得るし)損害も共有するから利害関係者なのです。運命共同体ということです。

取引関係に上下や貴賤はない

ではあらゆる関係者、企業も含めて、取引関係に上下や貴賤はあるのでしょうか?

下請けという言いかたもはびこっていますけれども、上下や貴賤はありません。全部等価交換です。すべての取引は等価交換で成り立っています。

ということは、みんな実は大切な仲間だよねと、運命共同体なんだし、一緒に利益も損害も被(こうむ)るのだから、大切な仲間なんです。

従業員、お客さん、取引先、パートナー、株主、地域社会、全てわが社の大切な仲間なんです。

ではどうすれば、どんな会社になれば成長できるのか、生き残れるのか、それには、三つの柱が必要です。それが今回第2話の結論です。

 

① 「仲間」に「選ばれる会社」になる

まずは、仲間に選ばれる会社になることが重要です。ちゃんと自分の存在を知ってもらって、何をしているか何を考えているかを知ってもらって、そして仲間に選ばれる会社。自分が相手のことを仲間だと思って、彼らに選ばれる会社になりましょう。

② 「仲間」としっかりと「つながる会社」になる

そして2番目は、その仲間としっかりとつながる会社です。社長だけ知ってるよとかね、現場だけだよ、とかではなくて、会社と会社、会社と個人がちゃんとつながる会社になりましょう。

 

③ 「大切な仲間」と「共に価値を創る会社」になる

そして最終的には、その仲間と共に価値を創る会社となるということです。

今、CSV(クリエイティブ・シェアド・バリュー)といった経営用語も流行っていますが、そういうことですよね。共に価値を創るのです。

価値って共有するものですよね。それがもっとも重要ですよね。

この3つの柱が重要です。「仲間に選ばれましょう」「選ばれたら、ちゃんとしっかりとつながりましょう」「つながったら、彼らと一緒になって、一緒に価値を創りましょう」

こうしないと、とてもではないけれど、令和時代は生き残れません。

広報3.0の三つのキーワード

では、広報の視点からいって、仲間に選ばれて、仲間とつながるために、どうしたらいいのでしょうか?

仲間に選ばれて、仲間とつながるためのすべての営みがそもそも広報ですし、広報の本質です。

そんな広報3.0には、3つのキーワードがあります。

① 「等身大」の姿を「自ら」伝える

1番目、等身大の姿ですね。飾らない、等身大の姿を自ら伝えることが重要です。

② 「大切な仲間」に「丁寧」に伝える。そして、「大切な仲間」と共に伝える

2番目は、大切な仲間に丁寧に伝える。自分が何を考えているのか? 何者なのか? を丁寧にちゃんと伝えましょう。と同時に今度は大切な仲間と一緒になって共に伝えていきましょう。

③ あらゆることを「組み合わせ」て伝える。そして「伝えること」を「積み重ね」る

そして最後、3番目、あらゆることを組み合わせましょう。大企業は、あらゆるコミュニケーションを組み合わせて成長しました。われわれも同じように、組み合わせて伝えましょう。そして、伝えるということを諦めずに、投げ出さずに、ずっと積み重ねていく。そうすることによって、令和の時代は生き残れます。その活動のすべてが広報3.0ということであります。

以上で今回の第二話を終わります。

今回の課題

最後に演習に取り組みましょう。今回も2つです。フォームがありますので、フォームから入力してください。

演習① わが社のことを伝える

まずは、わが社のことを初めて知る相手に対して、400字以内でわが社らしさ、わが社ならではの価値を分かりやすく伝えましょう。

演習② 大切な関係者のことを知る

2番目は、わが社を取り巻く大切な仲間って誰なの? ということで、もう一回周りを見回し、ちゃんと分離してみましょう。

お客さん、取引先、パートナーもいますよね。彼らを分類して、それぞれのお客や取引先などの特徴、その特徴を50字以内で分かりやすく表現し文章にしてみましょう。

 

この、「自分を伝えること」と「自分の大切な仲間は誰なのかということをちゃんと言葉にできますか」というのが第二話の演習です。

ぜひ、下記のフォームからトライして送ってくださいね。

今すぐ課題に取り組む(専用フォームへ飛びます)

第3話は「広報3.0」の実践事例をご紹介

次の第3話の内容を少しお伝えします。

第3話は事例のオンパレードです。

とても頑張っているんだけれども残念な広報がいくつかあります。これを類型化しています。

そして今度は、「広報3.0」を実践して成長している企業はいろんな階層であります。

それも具体的な事例で皆さんにご紹介していきたいと思っています。

以上を持ちまして第二話終了です。ありがとうございました。

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・今回の感想
・貴社のおよその規模を教えてください(年商、従業員数など)
・貴社の「わが社らしさ」を教えてください

以上三つです。

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